パデルを普及させるときの注意点①にも書いたが、 元々すでに世の中にスタンダードなものとして認知されているもののファンの人達というのは、往々にしてそれらから派生したものや、それらを掛け合わせて別のものになったもの(やこと)を良しとしない風潮がある。
特に日本のスポーツ界ではこの傾向が強い。
一つの競技だけを小さい頃から長い間コツコツと努力を重ね、大人になりやっと花開くというストーリーが日本人はとても好きである。
別の二つの競技を掛け持ちでやるなんていうのは非難はされても賞賛はされず、それが仮に勉強だとしてもスポーツで結果が出ないとき、周りから「勉強ばっかやってちゃんと練習しないからだ」という言葉をよく聞く。
アメリカなどではメジャーリーグとNFLの二足の草鞋を履く選手もいたりと、シーズン毎に競技を変えたり複数の競技をやりつつ最終的に一つに絞っていくという形を取る選手も少なくない。
日本のスポーツは学校の「体育」から来ているため、こういった海外での「スポーツ」の捉え方と大きく異なるとよく言われる。
私も少し前まではこの一球入魂というか、一芸に秀でるというような考え方が好きであった。
なんでもやる、「浅く広く」の人は正直あまり好きではなかった。
野球やサッカーやゴルフなどの、すでにスタンダードなものとして確立されているスポーツにのめり込んでいる人であればあるほど、こういった考えの人が多い。
最近はボールを蹴って行うゴルフ「フットゴルフ」や、自分の頭をラケットの代わりにして行う卓球「へディス」など、新しいスポーツが日本に上陸している。
当然パデルもその中の一つである。
想像するまでもないが、ゴルフが大好きな人はフットゴルフを認めないだろうし、卓球が大好きな人はへディスを認めないだろう。
ということはテニス(スカッシュ)が大好きな人も当然パデルを認めない。
ここで言う好きというのは、LikeではなくLoveのほうである。
その競技が自分の人生の「一部」ではなく、自分の人生「そのもの」になってしまっている人達は間違いなくそういった「後発」の「邪道」なものを認めたがらない。
ただ、サッカーもゴルフも同じぐらい好きだという人はフットゴルフを好きになる可能性はあるが、こういった人はかなりの少数派である。
こう考えると、「支持政党が決まっている人」を引き込むより、「無党派層の人」を引き込むほうが容易なのは明らかである。
ただしこの場合も引き込み方に注意しないと、二番煎じだとか亜流だと思われあっさり飽きられかねない。
多くのパデル関係者はこの部分を間違えているように思う。