パデル テニス コーチ スクール

前回の続きです。

テニスにはかなり大きく分けてグラウンドストローク、ボレー、サーブ(スマッシュ)と三つの技術群がある。(もっと大きく分けると二つになる)

グラウンドストロークとサーブは完璧な運動連鎖(と高い再現性)が求められ、ボレーは優れたハンドアイコーディネーションと巧みなラケットワーク、そして予測(から来るポジショニング)などが求められる。

一方パデルの場合、完璧な運動連鎖(と高い再現性)が求められるのはスマッシュやビボラといった比較的時間のあるシチュエーションで打つショットぐらいで、求められるのはテニスのボレーの要素がほとんどである。(細かく言えばグレイディング〔筋力発揮調整力〕や予測がテニス以上に必要だが、話を簡素化したいので省きます)

何が言いたいかというと、テニスからパデルに移行してきた人の多くが言う、「負担が少ない」「簡単」というのは、テニスを高い次元でプレーするために必須である「運動連鎖」を用いた技術をパデルでは打つ頻度があまりないというのと、最悪打てなくてもプレー出来るというところから来ているように思う。

もちろん高いレベルでパデルをプレーしようと思えば必須となってくるが、それでも重力に逆らって力を発揮しなければいけない場面や、自分の発揮した力を(敢えて)ロスさせるような技術が必要な場面というのは、テニスに比べればパデルは圧倒的に少ない。(但し、パデルでもレベルが上がるとアンダースピンをかける場面が増えるため、テニスとは逆の回転になるが必要にはなってくる)

平たく言い換えれば、俗に「オバサン(おじさん)テニス」と呼ばれる、「手打ち」でプレーしてもパデルはかなりのところまで行けるということだ。

だがテニスにおいて「手打ち」で上まで行くことはまず無理だ。

戦略や戦術を駆使して戦えないこともないが、運動連鎖を伴う再現性の高い技術を持っている選手にはかなわない。

戦術を駆使してプレーする手打ちプレーヤーが1ポイントを取る苦労と、身体全体を使って打つことの出来るプレーヤーとの苦労は雲泥の差で、おそらく後者は何も考えずに打っていても前者のタイプのプレーヤーには勝てる。

そして後者のようなプレーヤーが頭脳的なプレーも出来てしまうと、結果は火を見るより明らかである。

ここにテニスの難しさ奥深さがあり、と同時にウィークエンドプレーヤーやある程度の年齢に達したプレーヤーが後者のような選手と相対したとき、「ボールが違う、かなわない」と感じてしまうのだ。

一方パデルではそういうことを感じる場面が少ない。

もちろんremate por 3などは完璧な運動連鎖がないと難しい技術なので、それが打てないと勝てないというレベル(打てなくてもしばらくは十分勝てる)にいればまた話は別だが、一般レベルで言えばそういった技術を打つ場面は一試合に何度かある程度で、「手打ち」の技術が素晴らしければそれで十分勝てる可能性がある。

かなりおおざっぱにまとめると、テニスで強くなるためには「運動連鎖」と「コーディネーション能力」の二つが必須で、どちらかというと運動連鎖のほうが必要。

パデルは「コーディネーション能力」が必須で、運動連鎖はあればなおいい。

日本では(おそらくスペインでも)多くの一般テニスプレーヤーにとってこの運動連鎖をマスターすることがとても難しく、多くの手打ちテニスプレーヤーが生まれる。

ましてや大人になってからテニスを始め、この運動連鎖をマスターしてテニスをするというのはかなりの至難の技。

そこに、比較的自分の意思通りに、しかも素早く動かすことの出来る「手」でプレー出来るパデルがあるというのは、そういったテニスプレーヤーにとっては素晴らしいことだと思う。

なのでこれはごく個人的な意見だが、現在「手打ち」でプレーしているテニスプレーヤーはかなりパデルに向いていると思っている。

こういった方々にアプローチする方法、もしくはこういった方々がパデルに目を向けてもらう機会を今後考えていきたい。

私の頭の中には、

「こんな楽しいスポーツがあるなんて知らなかった〜もっと早く知りたかった〜!」

という声を聴くイメージまで出来上がっています。