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「そーなんだー、だからあんなに上手いんだ」
「じゃあすぐ上手くなるね」

過去にテニスをやっていたパデルプレーヤーの話になると比較的よく出てくるセリフです。

ただこのセリフには2パターンあって、語尾が、

「じゃあすぐ上手くなるね⤴︎」
「じゃあすぐ上手くなるね⤵︎」

のどちらかに分かれます。

前者はおそらく「また一人上手な人がパデル始めてくれた、わーい」なのに対し、後者は少々妬みも入り混じりつつのセリフのように感じます。

これはパデル以外のスポーツでもあり得ると思います。

例えばサッカー経験者がフットサルに移行してきたときや、ソフトテニス経験者が硬式テニスに移行してきたときなども、おそらくフットサル側、テニス側の人達に同様の感情が芽生える人は少なくないかと思います。

スポーツ経験が「フットサルが初めて」「テニスが初めて」という人や、趣味程度や習い事としてプレーしていた人にとって、サッカー上がりのフットサルプレーヤーやソフトテニス上がりのテニスプレーヤーがそんなに練習していないのに上手にプレーしているところを見ると、「あの人あまり練習していないのに、こんなに練習してる私より上手なんて」という気持ちになるのは分かります。

とてもよく分かります。

似たような感情として、テニスプレーヤーが自分より才能溢れる他の選手を見たときにも起こるので、私自身も経験があります。

あのなんとも言えない虚無感、絶望感。

何かに八つ当たりしたくなるあの気持ち。

あれを自分の中で消化するのはそれなりに大変でした。

正直なところ、競技が同じほうが精神的ダメージが大きいと思います。


話をパデルに戻します。

先ほどのセリフを言う際、語尾が下がってしまいそうな気がする方にちょっと考えてもらいたいことがあります。

それは、そのパデルに移行してきた元テニスプレーヤーが、

「テニスに捧げていたであろう時間とエネルギーは如何程だったのだろうか」

ということ。

テニスはパデルと同じか、それ以上に技術(とそれをどう使うかという戦術)が必要なスポーツです。

フォアハンドストロークの技術一つとっても、グリップ・レディポジション・テークバック・フォワードスイング・インパクト・フォロースルー・フィニッシュと、意識するところはたくさんあります。

技術を作り上げていくときや調子が悪くなったときなどは、これら一つ一つを確認しながらボールを打ちます。(パデルも高いレベルを目指そうとしたらもちろん同様です)

私も経験がありますが、練習相手にボールを出してもらったり、相手がいなければボールマシンやオートテニスにお世話になっていました。

昔グリップの握り方を修正していたとき、悩み過ぎて練習中全身に蕁麻疹が現れ、慌てて病院に駆け込んだことがあります 笑

私のこの例は極端だとしても、それぞれのレベルで一定の戦績を残してきたテニスプレーヤーや、現在パデルにおいて高い技術を持っている元テニスプレーヤーは大なり小なりこういった苦労は経験しているかと思います。

また、友達と遊びたい盛りの小中高のジュニア期に、学校から帰ったら真っ直ぐテニスクラブに行って練習に明け暮れた人もいるでしょうし、大学に入ってキャンパスライフを満喫したいのを我慢して練習に明け暮れた人もいるでしょうし、社会人になってから様々な誘惑や、嫁(夫)の「またテニス⁈」という厳しい言葉に負けず練習に明け暮れた人もきっといることと思います。

現在パデル界にいる、「パデル経験は少ないのに上手な人達」というのは、おそらくみんなが勉強していたとき、遊んでいたとき、呑んでいたときに練習していたんです。

「特に練習もしてないのにいきなりパデルが上手くなった」わけではないんです。

こういった点を少しは鑑みてもらえたらなと思います。

今後もこういったプレーヤーは現れると思うので、そのときは「昔地道な努力を積み重ねてきた人なんだな」と心の中で捉えてあげてください。

これとは逆に、テニスに明け暮れてる人を横目に勉強や仕事や家事に精を出していた人は、現在そっちの方面で活躍されていることと思います。

勉強期をすっ飛ばしてきてしまった私は、案の定「脳みそまで筋肉」タイプになってしまいました 笑

なのでテニスでも戦績を残すと同時に、勉強や仕事でも良い成績を残したり、円満な家庭を築き上げている人を見ると素晴らしいなと思わずにはいられません。


最後に、壁を使った技術以外はテニスと似てるとパデルは言われますが、パデルの技術を細かく見ていくとフットワークや打つタイミング、テークバックや回転量、打点やグリップなどが微妙に違います。

上手な元テニスプレーヤーがパデルの技術を細かくしていきたい段階に入ったら、おそらく今まで培ったテニスの各技術を多少なりとも修正しなければならなくなります。

そうすると、パデル未経験の人は「ゼロの状態からパデルの技術を積み上げる」のに対し、元テニスプレーヤーは「テニス側に寄っている技術を一旦ゼロに戻してからパデル技術を積み上げる」ことになるため、これはこれで時間もストレスもかかる作業です。

となると元テニスプレーヤーからしたら、「いいなー、テニスしてないパデルプレーヤーは」と思うかもしれません。

結局のところ、「他人の芝生は青く見える」ということであって、自分の出来る範囲で少しずつ積み上げていくしか方法がなく、またそれしか意味がないとも言えます。