日本パデルアカデミー

テニスとスカッシュのハイブリットスポーツ、パデル。 パデルは40年ほど前にスペインで生まれたスポーツで、欧州や南米を中心に親しまれており、本場スペインではテニス人口を上回る競技人口をもつ人気スポーツとなっています。 「パデルが上手になりたい」という方のお役に立てれば幸いです。

カテゴリ: 技術

パデル スカッシュ スペイン スポル お家でパデル
「メンタル大事ですよね、パデルって」
「やっぱテニスってメンタルですよね」

この質問はもうマーシーのギャグぐらい聞いてきました。(#田代まさし#ミニにタコができる)

私はこの質問をされるとき、どれぐらいの深度でそれを言ってるのか見極めてから答えるようにしています。

私も、ある程度(といってもかなりの程度)のレベル以上からは大事になると思っています。

プレーヤーが完成されてくればくるほど、メンタルが勝負の分かれ目になることも増えてくると思います。

ですがそのレベルにまだ到達していない人にとっては、それらより大事なことがあります。

それはボレーやレボテといった技術です。


なぜか。

ちょっと考えてみて欲しいことがあります。

“鉄人”衣笠
“ウルフ”こと千代の富士
“人類最強ロシアンラストエンペラー”ことヒョードル

「メンタル強い、諦めない、平常心」といったキーワードで想像したらパッとこの3人が浮かびました。
若い人は知らない方も多いかと思いますが、ご存じの方は私と同様うなずいてくれる方も少なくないかと思います。

(医科学的に正しいかはさておき)デッドボールで骨折した翌日に試合に出場したり、1日500回腕立て伏せするような精神を私は持ち合わせていません。

“メンタル対決”した場合、この3人にはとてもかないません。

ですがパデル(やテニス)で勝負した場合、負ける気がしません。

いくら逆境に強かろうが諦めなかろうが、技術的な差がかなりある場合、結果は火を見るより明らかです。(ヒョードルがレボテ練習してたら別ですがww)

パデルやテニスのように道具を使ってボール等をコントロールするスポーツは、技術の重要度が高くなります。

お分かりだと思いますが、メンタルや“気合い”だけではボールをコントロール出来ないからです。


去年Sanyo・Maxiのコーチを務め、現在女子の世界ランキング12位のDelfi Breaのお父さんでもある、Nito Breaはこう言っています。

「自分の問題は精神的なものだと思っている人や、努力が足りないからだと思っている人はたくさんいる。しかし本当の理由は技術的なもの。技術を体系的に学ばないと上達の限界という名の天井にすぐぶつかってしまう」

と言っています。

大きくうなずける言葉です。

パデル テニス スカッシュ ラケット スポル 品川大井町

「うわ、なんだこれ、めっちゃ簡単にボールが飛ぶな」

これは私が初めてパデルラケットでボールを打ったときの感想です。

それまでテニスを二十数年やっていましたから、比べようとしなくても無意識にテニスラケットでボールを打ったときと比べてしまいます。

もうかなり昔になりますが、テニス界に「デカラケ」「厚ラケ」が登場して以来、テニスラケットは常に進化を続け、今ではかなり「簡単に」テニスが出来るようなラケットが発売されています。

「簡単に飛ぶ」「簡単に回転がかかる」テニスラケットがたくさんあります。

そしてそれに伴い技術も進化していきます。

ウッド→スチール・アルミ→グラファイト→カーボン・・・とテニスラケットの素材は変遷を遂げてきました。

これに伴い、ウッドラケットの時代ではコンチネンタルだったフォアハンドストロークのグリップも、今ではセミウエスタン~ウエスタングリップが主流となっています。

なぜこのようにラケットが高耐久性・軽量化してくるとグラウンドストロークのグリップが厚くなっていくのか。

それは一言でいうなら「ボールが飛び過ぎてしまうから」です。

ボールが飛び過ぎないようにする方法は大きく分けて二つ。

スイング自体を遅くて小さいものにしてボールが飛び過ぎないようにするのが一つ。

もう一つはボールに順回転(トップスピン)をかけてコート内に収めるように打つ、というのがあります。

ウッドラケットに代表されるような昔のラケットの場合、「重くて飛ばない」という特徴があったため、ボールを「(遠くに)飛ばす」必要がありました。

テニスには大きく分けて球種が三種類(トップスピン・フラット・スライス)ありますが、一番遠くに飛ばないのがトップスピン。

次いでフラット、スライスとなります。

当然ですが一番使用頻度の高い球種に合わせて技術(グリップ)を作り上げていきますから、自然とグリップはコンチネンタル~イースタングリップのような薄いグリップで握ることが主流となる。

ラケットに「重たくて飛ばない」という特徴があるため、「ゆっくり大きなスイング」で打つフォームになる。

一方現在のテニスラケットは「軽くて簡単に飛ぶ」という特徴があるため、ウッドラケットで打つときのようなゆったり大きなスイングをしてしまうと簡単にボールがベースラインを超えてしまいます。

なのでボールにトップスピンをかける必要がある。

だからグリップがセミウエスタン~ウエスタングリップのような厚いグリップが主流になってきているのです。

(なぜフラットやスライスを中心に打つ場合はコンチネンタルグリップで、トップスピンを打つ場合はウエスタングリップが良いのか)

そしてゆっくり振っていてはガットにボールをひっかけながら打つことが出来ないので、速くスイングする必要があります。

速く振ろうと思ったらスイングの回転半径は小さいほうがいいので、現在のテニスラケットでボールを打つ場合、「速くて小さいスイング」を心掛けたほうがいい。
パデル テニス スカッシュ ラケット スポル 品川大井町
ここからやっとパデルの話に移る。

今現在パデルをやられている方々の中で、以前はテニスをしていた、もしくは今もパデルと並行してテニスをしているという方は少なくない。

これは今後もしばらくは変わらないように思う。

そうすると、「ウッドラケットの頃を最後にテニスはしていない」という人を除いて、ほとんどの人が簡単に飛ぶラケットでのテニスを経験している。

そういった人がパデルをすると必ずと言っていいほど、「強く打とうと思ってないのにボールが強くなってしまう病」にかかります。

「速くスイングすること」
「強くボールを打つこと」

が身体に染み込んでしまっているからです。

テニスではそういった技術を求めて練習に励むので当然といえば当然です。

パデルではどういったスイングは求められるかというと、一言で言うなら「ゆっくり小さなスイング」が必要です。

現代テニスのようにトップスピンを猛烈にかける必要も(またメリットも)ないし、ウッドラケット時代のテニスのように技術でボールを遠くに飛ばそうとしなくても、パデルラケットは勝手にボールを飛ばしてくれる。

となると、先ほどのゆっくり小さなスイングというのがしっくりきます。

ここまで読んだ多くのテニスプレーヤーの顔が曇っているのが見て取れます。

「それじゃあ強く打てなくね?」

言葉に出さずとも顔がそう言っています。

「ゆっくり小さなスイングで強く打つ」、これがパデルの技術全般に通底するキーワードだと私は思っています。


そしてこれはテニスの頃から「レッスンあるある」でしたが、ショートラリーやボレーボレーに代表されるようなハンドアイコーディネーションやグレーディングの調整を兼ねた練習メニューをする際、上手にボールをコントロール出来ない人が必ず一定数います。

強く(速く)しか打てない、という人がいるということです。

百歩、いや千歩ぐらい譲ったとして、テニスではそれでもまだある程度(本当にある程度ですが)まともにプレー出来なくもない。

だがパデルに関していうと、そういった人はパデルプレーヤーにとっては「いいカモ」になってしまいます。

この「強くしか打てない人」も、「強くなってしまう人」もグレーディングに問題があると私は思っています。

グレーディングとは筋力発揮調整能力のことで、簡単に言うと力の調節のことです。

前者の強くしか打てない人は、力を発揮する際のメモリが0か100しかない人に多い。

後者の強くなってしまう人は、力を発揮するタイミングがずれている。

ずれている、というよりはテニスとパデルでは力を出すタイミング(や量)が違う、というほうが正しい。


ただこれはあくまでも、「パデルを上手にプレーするために必要な感覚」であり、テニスチックに打つのがダメなわけでもルールで定められているわけでもない。

すべては「パデルコートでテニスをしている自分」を認められるかどうかにかかっている。

パデル テニス スカッシュ 大井町 スポル
「あの選手上手い(巧い)よね」


パデルに限らず様々なスポーツでこのセリフはよく聞く。

だが、この場合の「上手い」は、人によって何を指しているのか異なる場合がある。

技術(スキル)を指している場合もあれば配球などの戦術を指している場合もあり、人によってはプレー全体を見て“なんとなく”上手いと感じている場合もある。

だがスポーツ科学の世界では「上手い」の定義は決まっていて、

環境(状況)把握予測能力
正確さ
素早さ

この3つの要素に長けている人のことを上手いと呼ぶそう。

この3つに優劣はなく、どれが欠けてもダメで、パデルではこの中でも特に「正確さ」の重要度が高いような気がしている。

ここでいう正確さとは、いわゆる「(ボール)コントロール」のことではない。

ここでの正確さとは、

グレーディング能力
タイミング能力
スペーシング(ポジショニング)能力

これらの要素が「正確」であるかということ。

ある本の中に、

「人間は適切な力を予測してから運動を起こす。この調整は、それまでの経験を基にした状況把握能力の予測が強く関わっている。そして一度筋力を発揮したら、筋からの情報を確認しながらグレーディング、タイミング、スペーシングを再調整し、巧みな動作を再構築していく。そしてその動作を繰り返し練習することによって予測、正確さ、素早さの精度を上げていく」

とある。
パデル テニス スカッシュ 大井町 スポル
ここで興味深いのが、予測が2種類あること。

平たく言ってしまえば戦術的な予測と技術的な予測とがあり、どちらも「上手」にプレーする上で欠かせないものだということ。
 
これまたどちらかが長けていてもダメで、相関関係にあるということ。

 ではこれらの予測力を高めるにはどうしたらいいのか。

一つは上手なプレーヤーの試合を観ること。

プロの試合でも構わない。

そしてもう一つはやはりパデルコートでたくさん練習すること。

そうすることで予測するための「材料」がどんどん頭の中に蓄積されていく。


なんだ、結局練習するしかないのか
そっか、練習してれば身につくのか


どう捉えるかはあなた次第ですが、イチロー選手は引退会見でこう言っていました。

「少しずつ積み重ねていくこと。それでしか自分を超えていけないと思うんですよね。一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それは続けられないと僕は考えているので。地道に進むしかない。進むというか、進むだけではないですね。後退もしながら、あるときは後退しかしない時期もあると思うので。でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく」

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