日本パデルアカデミー

テニスとスカッシュのハイブリットスポーツ、パデル。 パデルは40年ほど前にスペインで生まれたスポーツで、欧州や南米を中心に親しまれており、本場スペインではテニス人口を上回る競技人口をもつ人気スポーツとなっています。 「パデルが上手になりたい」という方のお役に立てれば幸いです。

カテゴリ: 技術

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「うわ、なんだこれ、めっちゃ簡単にボールが飛ぶな」

これは私が初めてパデルラケットでボールを打ったときの感想です。

それまでテニスを二十数年やっていましたから、比べようとしなくても無意識にテニスラケットでボールを打ったときと比べてしまいます。

もうかなり昔になりますが、テニス界に「デカラケ」「厚ラケ」が登場して以来、テニスラケットは常に進化を続け、今ではかなり「簡単に」テニスが出来るようなラケットが発売されています。

「簡単に飛ぶ」「簡単に回転がかかる」テニスラケットがたくさんあります。

そしてそれに伴い技術も進化していきます。

ウッド→スチール・アルミ→グラファイト→カーボン・・・とテニスラケットの素材は変遷を遂げてきました。

これに伴い、ウッドラケットの時代ではコンチネンタルだったフォアハンドストロークのグリップも、今ではセミウエスタン~ウエスタングリップが主流となっています。

なぜこのようにラケットが高耐久性・軽量化してくるとグラウンドストロークのグリップが厚くなっていくのか。

それは一言でいうなら「ボールが飛び過ぎてしまうから」です。

ボールが飛び過ぎないようにする方法は大きく分けて二つ。

スイング自体を遅くて小さいものにしてボールが飛び過ぎないようにするのが一つ。

もう一つはボールに順回転(トップスピン)をかけてコート内に収めるように打つ、というのがあります。

ウッドラケットに代表されるような昔のラケットの場合、「重くて飛ばない」という特徴があったため、ボールを「(遠くに)飛ばす」必要がありました。

テニスには大きく分けて球種が三種類(トップスピン・フラット・スライス)ありますが、一番遠くに飛ばないのがトップスピン。

次いでフラット、スライスとなります。

当然ですが一番使用頻度の高い球種に合わせて技術(グリップ)を作り上げていきますから、自然とグリップはコンチネンタル~イースタングリップのような薄いグリップで握ることが主流となる。

ラケットに「重たくて飛ばない」という特徴があるため、「ゆっくり大きなスイング」で打つフォームになる。

一方現在のテニスラケットは「軽くて簡単に飛ぶ」という特徴があるため、ウッドラケットで打つときのようなゆったり大きなスイングをしてしまうと簡単にボールがベースラインを超えてしまいます。

なのでボールにトップスピンをかける必要がある。

だからグリップがセミウエスタン~ウエスタングリップのような厚いグリップが主流になってきているのです。

(なぜフラットやスライスを中心に打つ場合はコンチネンタルグリップで、トップスピンを打つ場合はウエスタングリップが良いのか)

そしてゆっくり振っていてはガットにボールをひっかけながら打つことが出来ないので、速くスイングする必要があります。

速く振ろうと思ったらスイングの回転半径は小さいほうがいいので、現在のテニスラケットでボールを打つ場合、「速くて小さいスイング」を心掛けたほうがいい。
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ここからやっとパデルの話に移る。

今現在パデルをやられている方々の中で、以前はテニスをしていた、もしくは今もパデルと並行してテニスをしているという方は少なくない。

これは今後もしばらくは変わらないように思う。

そうすると、「ウッドラケットの頃を最後にテニスはしていない」という人を除いて、ほとんどの人が簡単に飛ぶラケットでのテニスを経験している。

そういった人がパデルをすると必ずと言っていいほど、「強く打とうと思ってないのにボールが強くなってしまう病」にかかります。

「速くスイングすること」
「強くボールを打つこと」

が身体に染み込んでしまっているからです。

テニスではそういった技術を求めて練習に励むので当然といえば当然です。

パデルではどういったスイングは求められるかというと、一言で言うなら「ゆっくり小さなスイング」が必要です。

現代テニスのようにトップスピンを猛烈にかける必要も(またメリットも)ないし、ウッドラケット時代のテニスのように技術でボールを遠くに飛ばそうとしなくても、パデルラケットは勝手にボールを飛ばしてくれる。

となると、先ほどのゆっくり小さなスイングというのがしっくりきます。

ここまで読んだ多くのテニスプレーヤーの顔が曇っているのが見て取れます。

「それじゃあ強く打てなくね?」

言葉に出さずとも顔がそう言っています。

「ゆっくり小さなスイングで強く打つ」、これがパデルの技術全般に通底するキーワードだと私は思っています。


そしてこれはテニスの頃から「レッスンあるある」でしたが、ショートラリーやボレーボレーに代表されるようなハンドアイコーディネーションやグレーディングの調整を兼ねた練習メニューをする際、上手にボールをコントロール出来ない人が必ず一定数います。

強く(速く)しか打てない、という人がいるということです。

百歩、いや千歩ぐらい譲ったとして、テニスではそれでもまだある程度(本当にある程度ですが)まともにプレー出来なくもない。

だがパデルに関していうと、そういった人はパデルプレーヤーにとっては「いいカモ」になってしまいます。

この「強くしか打てない人」も、「強くなってしまう人」もグレーディングに問題があると私は思っています。

グレーディングとは筋力発揮調整能力のことで、簡単に言うと力の調節のことです。

前者の強くしか打てない人は、力を発揮する際のメモリが0か100しかない人に多い。

後者の強くなってしまう人は、力を発揮するタイミングがずれている。

ずれている、というよりはテニスとパデルでは力を出すタイミング(や量)が違う、というほうが正しい。


ただこれはあくまでも、「パデルを上手にプレーするために必要な感覚」であり、テニスチックに打つのがダメなわけでもルールで定められているわけでもない。

すべては「パデルコートでテニスをしている自分」を認められるかどうかにかかっている。

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「あの選手上手い(巧い)よね」


パデルに限らず様々なスポーツでこのセリフはよく聞く。

だが、この場合の「上手い」は、人によって何を指しているのか異なる場合がある。

技術(スキル)を指している場合もあれば配球などの戦術を指している場合もあり、人によってはプレー全体を見て“なんとなく”上手いと感じている場合もある。

だがスポーツ科学の世界では「上手い」の定義は決まっていて、

環境(状況)把握予測能力
正確さ
素早さ

この3つの要素に長けている人のことを上手いと呼ぶそう。

この3つに優劣はなく、どれが欠けてもダメで、パデルではこの中でも特に「正確さ」の重要度が高いような気がしている。

ここでいう正確さとは、いわゆる「(ボール)コントロール」のことではない。

ここでの正確さとは、

グレーディング能力
タイミング能力
スペーシング(ポジショニング)能力

これらの要素が「正確」であるかということ。

ある本の中に、

「人間は適切な力を予測してから運動を起こす。この調整は、それまでの経験を基にした状況把握能力の予測が強く関わっている。そして一度筋力を発揮したら、筋からの情報を確認しながらグレーディング、タイミング、スペーシングを再調整し、巧みな動作を再構築していく。そしてその動作を繰り返し練習することによって予測、正確さ、素早さの精度を上げていく」

とある。
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ここで興味深いのが、予測が2種類あること。

平たく言ってしまえば戦術的な予測と技術的な予測とがあり、どちらも「上手」にプレーする上で欠かせないものだということ。
 
これまたどちらかが長けていてもダメで、相関関係にあるということ。

 ではこれらの予測力を高めるにはどうしたらいいのか。

一つは上手なプレーヤーの試合を観ること。

プロの試合でも構わない。

そしてもう一つはやはりパデルコートでたくさん練習すること。

そうすることで予測するための「材料」がどんどん頭の中に蓄積されていく。


なんだ、結局練習するしかないのか
そっか、練習してれば身につくのか


どう捉えるかはあなた次第ですが、イチロー選手は引退会見でこう言っていました。

「少しずつ積み重ねていくこと。それでしか自分を超えていけないと思うんですよね。一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがありすぎて、それは続けられないと僕は考えているので。地道に進むしかない。進むというか、進むだけではないですね。後退もしながら、あるときは後退しかしない時期もあると思うので。でも、自分がやると決めたことを信じてやっていく」

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パデルは「テニスとスカッシュを掛け合わせたハイブリッドスポーツ」ですから、テニスやパデルの知識だけでなく、スカッシュの知識や経験もあったほうがヒントや発見がありそうです。

・・・がしかしスカッシュは、テニスやパデルよりおそらくバドミントンの要素が多く入っているようなスポーツに感じます。

スカッシュはテニスよりバドミントンに近く、パデルはスカッシュよりテニスに近い。

技術の中の、特にラケットワークに関しては特にそうで、それにはボールの重量や反発係数、ラケットの重量や反発係数が大きく関係しているのだと思います。

個人的な感覚ですが、スカッシュは「バドミントン8:テニス2」、パデルは「テニス5:スカッシュ3:卓球1:バドミントン1」のようなイメージがあります。

昔スカッシュをしたことがありますが、テニスの経験や技術で「ごまかせる」のはたかが知れていて、ある程度のレベルでプレーをしようと思ったら、当然ですがスカッシュの「ちゃんとした技術」が必要になります。

私にとってはスカッシュの(大きなテークバックを必要とする)ラケットワークと、テニスにはあまりないフットワークがとても難しく感じました。


さて、私はどんなスポーツでもルール・コート・用具を考慮してプレーしないと上達は望めないと考えています。

というよりそれを無視してプレーしたら、そのスポーツでもなんでもなくなってしまいますからね 笑

公園でボール遊びしてるのと同じことになってしまいます。

ボール(シャトル)が飛ぶ・飛ばない
ラケットが軽い・重い
ラケットに反発力がある・ない
コートが広い・狭い
コートに壁がある・ない
ワンバウンドさせてからの返球があり・なし
etc…

これらの要素がそのスポーツの特徴を作り出し、効果的な技術や戦術を生み、必要とされる身体的要素などが決まると思っています。
パデル テニス スカッシュ 大井町 スポル
コートの大きさを例にとると、ざっくりですが自陣コートの大きさは、

バドミントン 縦6m横5m
スカッシュ  縦10m横6.5m
テニス 縦12m横8m
パデル 縦10m横10m 
 
 です。

コートの大きさだけ見るとパデルはテニスに近い感じがします。

ですがパデルにはシングルスがありません。(あるにはあるが普及していない) 

逆にスカッシュはシングルスしかありません。(ダブルスもあるにはあるが普及していない)

テニス(やバドミントン)はシングルス・ダブルス両方あり、どちらかというとシングルスがメイン(バドミントンは分かりません)で、テニスプレーヤーでダブルスしかやったことがありませんという人はほとんどいないように思います。(もちろん競技レベルによります)

となると、例えばテニスプレーヤーであればシングルスをプレーするための技術やコートの広さなどが体に染みついているはずです。
パデル テニス スカッシュ 大井町 スポル
一方パデルにはシングルスがない。

ということは基本的にはコートをペアと半面ずつ守ればよく、そうすると自分が守る横の守備範囲はだいたい5m。

そしてディフェンス時に立つことが多いサービスライン付近から後ろの壁までは3mで、サービスラインからネットまでは7m。

 スカッシュは縦が10mですが、選手が立つ基本のポジションはコート中央付近の「T」と呼ばれるところで、そこから後ろの壁までは約4mです。


 こう見ていくといろいろ分かってきます。 

フットワークに関してはスカッシュのほうが近そうです。


スカッシュのどこを真似てどこを真似てはいけないのか。

テニスのどこを真似てどこを真似てはいけないのか。



まとめます。

モハメド・アリが「蝶のように舞い、蜂のように刺す」なら、

パデルは、

「スカッシュのように動き、テニスのように打つ」

です。


でももう少し正確に言うなら、

「テニスの動きもあるにはあるけど基本的にはスカッシュ(やバドミントン)のように動き、コートの大きさ・壁・ラケットやボールの反発力を考慮しつつ、テニスに近いけど実はけっこう違う打ち方なんだよなーということを頭で反芻しながらテニスのように打つ」

です 笑

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