充足率100%はコーチを幸せにするか

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最近ありがたいことに様々なオファーをいただいています。

うっかり浅はかな考えでそれぞれのオファーに乗ってしまいそうな自分がいてつくづく単細胞で嫌になりますが、さすがにアラフィフまで生きてくるとギリギリのところで踏み止まれるようになりました。

なんのこっちゃ分からないと思いますが毎回このブログを読んでくださっている読者の方には、「この抽象的な入り、さてはいつものオジサン日記だな」とバレていることと思います笑

あと私は元からこのキャラだったわけではなく、現在のこのキャラクターに落ち着くまで紆余曲折があったことも一度書いておきたいと思っていたので今回の内容と合わせて書いてみました。

ほとんどの人にとっては関係ない話ですが、もしかしたら現在パデルコーチをしている人、将来パデルコーチをしようかと考えている人にはもしかしたら参考になるかもしれません。

キャラの変遷

私は18歳のときアルバイトで初めてこの世界に入り、それからあっという間に約30年が経ちました。

18〜41才 テニスコーチ
41〜42才 パデルコーチ
42〜43才 テニス&パデルコーチ
44才〜   パデルコーチ 

こんな感じでコーチ生活を過ごしてきたわけですが、コーチとしてのキャラクターとしては、

18〜26才 ノープランにもほどがある行き当たりばったり期
26〜35才 ストイック&マニアック期
35〜41才 目指せ売れっ子ホスト愛されキャラ装い期
41才〜   現在に至る

このような変遷を辿ってきました。

恥を忍んで書きますが(本当に嫌なら書かなければいいので本当は書きたい笑)、26才までは本当に何も考えずにコートに立っていました。

当時の生徒さんには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
もしこれを読んでいる方の中に「私昔庄山コーチに習ってたよー」という方がいらっしゃいましたらご連絡ください、コーヒー奢らせていただきます笑

ストイック&マニアック時代

詳細は省きますがノープラン行き当たりばったり期から脱出できたのは恩師のおかげです。

・テニスは勉強するものだよ
・勉強したら強くなれるよ
・「なんで」に答えられるコーチになりなさい
・一角のコーチになりたいなら勉強しなさい

このような言葉をかけてもらい26才にして生まれて初めて勉強というものを経験しました。(このとき同時に勉強の仕方を教えてもらったのは大きかった)

勉強を始めた直後にまず思ったのは「俺、テニスのこと何にも知らないじゃん!」でした。
#よくテニスコーチやってたね

で、すぐに思い浮かんだのは「こういうこと知ってたらもっと勝てたんじゃん?」ということ。
#週4で練習
#週3でトレーニング
#なのに弱かった

で、次に思い浮かんだのは「こういうこと知ってたら俺にも強い選手が育てられる!」でした。
#単細胞にもほどがある
#たんほど
#2025年の流行語大賞

そしてここからが地獄の始まりでした。

勉強している内容としてはグランドスラムを目指すようなレベルの選手を対象としたものがほとんどで、普段の一般レッスンでは使えないものばかりなのに、「これを意識すればあなたも絶対強くなれる!」とばかりに一般クラスの生徒さんに鼻息荒くお伝えしていました。

たまに極々一部のジュニア選手にアドバイスがバチっとハマるときもありましたが(最高に気持ち良い瞬間!)、当時私が担当していた9割以上の方には馬の耳に念仏状態です。

当然生徒は徐々に離れていき、レッスンの充足率が低くなりプレッシャーをかけられるようになりました。

今覚えば本当にお恥ずかしいのですが、当時は本当に「俺の言う通りやれば本当に上手くなるのになんでやらないんだ!」と思っていましたので、私から離れていく生徒さんが本当に理解できないと感じていました。

充足率100%コーチへ

テニススクールでは一般的に充足率と継続率というものを大事にするのですが、先ほどの暗黒時代はおそらく充足率が30%ぐらいだったような気がします。

定員8人のクラスに対して3人以下というような有様でしたから、プレッシャーもかけられるし迷惑も掛けてるしで段々と居場所がなくなりそのスクールを離れる決断をしました。

そして次にお世話になったスクールでは真逆の方針を取ることにしました。

まあ正確に言うとはっきりとそのような考えはなく、以前の反省を踏まえてレッスンをしようと思っていた程度です笑

ただ幸か不幸か持ち前の単細胞が功を奏し、徐々に生徒さんが増えていきました。

最後の2年弱ぐらいはレッスンの充足率が100%、私のクラスにレギュラーで入るためのキャンセル待ちが出るほどまでになりました。
#噂を聞きつけて隣町のスクールから移ってきた生徒さんもいたんだよ

当時はテニスの勉強以外にスポーツ心理学含め心理学にハマっていた時期でもあり、それも重なり良い結果が生まれたのかなとも思います。

良い結果と言いましたがこの状態もそんなに長くは続きませんでした。

以前この記事にも書きましたが、これを続けていると気持ちが追いついてこなくなるんですね。

十人十色と言われるだけあって生徒さんが八人いたら八通りの考えがあるわけです。

その八人全員を満足させるとなるとかなりの気遣いと感情労働をしなければいけませんから八方美人にならざるを得ません。
#周りにそういう“いいコーチ”いませんか?

まあこれはスクールやコーチ側にも原因はあります。
提供するもの、できないものを明示していないからです。

理想と現実のバランスをどこに置くか

そんなこんなで結果的にマニアック系キャラも売れっ子ホスト系キャラも経験することができたわけですが、このおかげで私は「やはり教育業寄りのほうが好きなんだ」ということが確認できました。

こういった紆余曲折を経て「自分がやりたいこと・やりたくないこと」「生徒さんが求めているもの・求めていないもの」、この4つのマトリックスが自分の中でかなり整理できるようになりました。

マニアック時代は左上で疲弊し、売れっ子時代は右下で疲弊しました。

今はようやく右上でレッスンができるようになってきました。
#30年近くかかった

仕事の基本は「困っていることを解決すること」だというのは重々承知の上で、ただコーチ業には「こんな道もあります」とか「さあ一緒にこっちの道に行ってみましょう」というのもありというか、むしろ個人的にはこちらのほうが大切だと考えています。

今現在コーチ業に携わっている人、将来コーチ業に就こうと考えている人は一度こんなことも考えてみるといいですよ。

ではまた。

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